· 脇役愛

メンマにぞっこんです。異常なほどに。シコシコした食感が、何とも愛おしい。

それと、ほどよき塩味。中華そば、ラーメンの脇役の隊長です。私は元々、シコシコの脇役が大好き。貝柱、小柱、貝ヒモ、椎茸の軸にも目がありません。 

話は、メンマに戻ります。世にメンマ好きは、沢山いらっしゃると思います。 私の偏愛メンマストーリーに入ります。私の小学生の頃は(昭和40年前後)、中華そばと言えば、丼の中には、チャーシュー、メンマ(当時は支那竹と呼んでいた)、ナルト、海苔、ホウレン草(店による)、薬味ネギ。 この中華そばのトッピングメンバーの中に、誰が入れたか、メンマを入れたそのセンスにまず感謝。最近は穂先メンマというシャレたメンマもありますが、矢張り我々の年代は“支那竹”。かれこれ60年近く食べ続けています。

そして、究極のメンマ愛に辿り着いたのが、今から9年前、2012年のこと。何気なくテレビを見ていたら、有り得ないメンマラーメンが存在する!という予告。これは、見なきゃ。と画面を見て「何じゃこりゃ!」枕木のようなメンマがラーメン丼の上に、およそ30〜40本。その大きさと数にも驚きましたが、その“メンマっぷり”が見事なこと。一目で「間違いなくうまい」と確信。枕木と表現しましたが、いわゆる普通のメンマひとつの5倍の大きさです。そこは名古屋にある好陽軒というお店。

「必ず、行くぞ!」と心に誓って数ヶ月。遂に名古屋での仕事が決定。その日から指折り数えて当日。行きの新幹線の時間を早めて、仕事前に食べるという算段。朝から、メンマが食べられるとソワソワ、ニンマリ。いつもなら新幹線に乗ると崎陽軒のシウマイ弁当を買うのがお決まり。でもそれは、お預け。未体験のメンマラーメンのために備えます。 名古屋駅に到着。地下鉄を乗り継いで、お店に到着。11時の開店ちょっと前なのに、5人のお客さんが並んでいる。この人達も、お目当てはメンマラーメンなんだろうなぁと思いながら、列の最後尾へ。

まもなく開店、順に店内へ入ると長い一本のカウンター席があるのみで、丁度真ん中辺りに座る。11人で満席。壁のメニューを見て「竹」(メンマ大盛りラーメン)を確認。私の前に並んでいた人達のほとんどが「竹」を注文。当然私も「竹」。カウンターの中には、60代と思われるご主人と奥さまの二人が、テキパキと動いている。メンマラーメンを待つこと10分。遂にその時がきました。 ドーンと「竹」の丼が。目の前には、あの枕木のようなメンマが山盛り。ラーメンなのに麺が全く見えません。チャーシューも載っているはずなのに、まるっきり見えません。

それより、まずは一本目の枕木、いや、メンマをいただきます。 「う〜ん、なんだこれは。口あたりは、しんなり柔らかく、何とも程よい食感。メンマ特有のスジの感じが全くない。味付けもしょっぱくなく、メンマの旨味がわかる程度に。最大のポイントはシンプルにウマイ。枕木の大きさが何とも贅沢で嬉しく美味しい。何故この大きさなのか納得」と思わずニンマリ、幸せ〜。自分の目に間違いが無かったんだ。と思いながら「わ〜この美味しい山盛りメンマを、あと30本も食べられるんだ!ヤッター!」とご主人の方に目をやり感謝。 メンマが沢山あることに安心して、陥りやすいのが食べ方が雑になること。

メンマを丁寧に味わうことを肝に銘じて、2本目のメンマを口に入れる。矢張り塩気は殆どなく、むしろ甘みさえ感じる旨さ。 続けてメンマを3本食べて、メンマの下に隠れている麺をすする。麺も程好き中くらい、細からず太からず。またメンマを3本食べてスープを飲む。鶏ガラ醤油スープ、少しだけ薬膳の味。飲むからに美味しくて体に良い感じ。再びメンマに戻り、今度は5本。そして麺。次はメンマの下にあるチャーシューを探し出してパクリ。バラ肉なのか程好き厚さで、メンマと喧嘩しない旨さだ。

そして麺、メンマ、麺、メンマ…と折り返しを過ぎ、メンマもあと10本あるかないか。心がちと寂しいと思いながら箸は止まらず、あっという間の完食。 頭の中に浮かぶ言葉は「必ずまた来る」。 通常なら、太いメンマを30本も食べたら、お腹一杯のはず。それが全くない。寧ろ「もう1杯いけるかも」と思える位。 その答えを考えてみる。メンマをはじめ、チャーシュー、麺、スープ、全て厳選された素材。お互いが仲良く美味しくなる研究。そして、ラーメン愛、メンマ愛に溢れるご主人と奥さんの二人三脚で作り上げた味わい。これにはもう「このような美味しいラーメンを作ってくれて、ありがとう」素直にこの言葉しか出てきません。

 お店を出る時の「ご馳走さまでした」。そしてご主人夫婦の「またどうぞ〜」の声。お店を背にしての満足感。こういう体験は久しぶりでありました。 後日、また、お店を訪れた時がちょうど閉店間際、最後の客ということで、ご主人とお話しをすることが出来ました。メンマは台湾まで自ら足を運び、支那竹を選定して、現地で乾燥させてから日本に送ってもらい、お店で出す1週間前に戻して「おいしくな〜れ、おいしくな〜れ」とゴシゴシしごいて、手をかけて最高級の味に仕上げるそうです。 

そりゃあ、旨いに決まっている。 あ〜名古屋へ行きたい。 ひつまぶしも、味噌カツもきしめんも、味噌煮込みうどんもあるけど、やっぱり「竹ください!」(鶴間 政行)

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